「がん」ってなに?体は今日も、働いている

「がん」という言葉を聞くと、多くの人が思わず身構えてしまいます。けれど少し調べてみると、私たちの体の中では毎日、とても地味な——けれど気の遠くなるような数の「仕事」が行われているとわかります。今日は、その静かな仕事についての話をしたいと思います。

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体の中では毎日、小さな変化が起きている

私たちの体では、日々、多くの細胞が分裂し、古い細胞と入れ替わっています。入れ替わる速さや回数は、皮膚、血液、筋肉など、組織によってさまざまです。

細胞が分裂するときには、遺伝情報であるDNAも複製されます。その過程で小さな変化が起きることがあります。また、たばこの煙に含まれる化学物質や紫外線、一部の感染症などによってDNAが傷つくこともあります。遺伝的に受け継がれる変化もあります。

けれど、DNAに変化が起きたからといって、すぐにがんになるわけではありません。体には、傷ついたDNAを修復する仕組みがあります。修復できない細胞の増殖を止めたり、細胞自身を終わらせたりする働きもあります。免疫細胞が異常な細胞を見つけて攻撃することもあります。

私たちが意識していないところで、こうした仕組みが静かに働き続けています。

細胞の増え方を調整できなくなると

がんは、細胞の成長や分裂などを調整する遺伝子に変化が重なり、細胞が必要以上に増え続けるようになる病気です。多くの場合、ひとつの変化だけではなく、複数の変化が時間をかけて蓄積します。がん細胞は周囲の組織へ入り込んだり、血液やリンパの流れに乗って別の場所へ広がったりすることもあります。

がんは「ある日突然、体の外からやってくる敵」というより、もともと自分の体をつくっていた細胞に変化が重なって生じるものです。ただし、その成り立ちは複雑で、単に免疫や修復が「片づけそこねた」と説明できるものではありません。

年齢、遺伝的な体質、感染、生活習慣、環境など、がんの発生にはさまざまな要因が関わります。多くの場合、なぜその人ががんになったのかを、ひとつの理由だけで説明することはできません。がんになったことは、誰のせいでもありません。

それにしても、「がん」という二文字には、どこか人を立ち止まらせる重さがあります。もしこれが、たとえば「ぽん」という名前だったら、最初に受ける怖さは少し違っていたのでしょうか。

もちろん、名前が変わっても、病気の重さや、治療を受ける人の苦しさが変わるわけではありません。それでも言葉の響きが、まだ何も知らないうちから恐怖を大きくすることはあるように思います。病名だけに圧倒されず、体の中で何が起きているのかを知るために、言葉からほんの少し距離を取ってみる。そんな入口があってもよいのかもしれません。

私たちにできること

すべてのがんを防ぐ方法はありません。それでも、科学的な研究から、がんになるリスクを下げるためにできることが少しずつわかってきました。

国立がん研究センターは、日本人のためのがん予防として、たばこを避けること、お酒を控えること、食生活を見直すこと、体を動かすこと、適正な体重を保つこと、そして感染を予防することを挙げています。

これらを実践すれば、必ずがんを防げるというわけではありません。生活習慣だけでは変えられない要因もあります。それでも、自分の健康を守り、がんのリスクを少し下げるための現実的な手がかりにはなります。適切ながん検診を受けることも、自分の体と付き合う方法のひとつです。

睡眠をとることや、ストレスとの付き合い方を見つけることも、日々の健康を支えるうえで大切です。ただし、それだけでがんを防いだり、治したりできるという意味ではありません。

まとめ

私たちの体は、今日もどこかで、傷ついたものを直し、増え方を調整し、静かにバランスを保とうとしています。

がんを必要以上に怖がることも、反対に単純な物語にしてしまうこともなく、まずは体の中で何が起きているのかを知る。そのことが、自分の体を少し大切にするきっかけになれば、うれしく思います。

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