泡を立てずに洗う クレイとの付き合い方

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木の棚に、色とりどりの粉や粒を入れたガラス瓶が三段に並んでいる
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BODY / SKIN CARE

泡を立てずに洗う
クレイとの付き合い方

泡のない洗い方を、素材の性質から読んでみる。

粒・肌・歴史・注意点

木の棚に、色とりどりの粉や粒を入れたガラス瓶が三段に並んでいる

泡の立たない洗い方があります。水に溶いて使う、クレイと呼ばれる、粘土を含む素材です。

化粧品にも使われていますが、泡を立てて洗うことに慣れていると、これで肌の汚れが落ちるのか、不思議に思うかもしれません。

その手がかりは、細かな粒と、粒の表面にあります。ただ、クレイにも種類があり、肌への使い方もひとつではありません。素材の性質を知るところから、日々の手入れとの距離を考えてみませんか。

目次

クレイの細かな粒と水の関係

化粧品の成分表示では、「カオリン」や「ベントナイト」という名前を見かけます。カオリンはカオリナイトなどを含む素材。ベントナイトは、モンモリロナイトなどの粘土鉱物を主に含む素材です。どちらもクレイの仲間ですが、水を加えたときの振る舞いには違いがあります。

KAOLIN

カオリナイト

カオリンに含まれる鉱物。水を加えても、ほとんど膨らみません。

BENTONITE

モンモリロナイト

ベントナイトに主に含まれる鉱物。水を取り込んで膨らむものがあります。

クレイを水に溶いたときの粘りや感触は、こうした鉱物の違いにも関わっています。[1]

粘土鉱物の細かな粒には、表面に物質を引きつける「吸着」という性質があります。粒の表面の電荷も、周囲の物質とのやり取りに関わります。[2]

金属の樽や籠に、茶色や橙色、白っぽい粉が円錐形に盛られている

化粧品では、カオリンやベントナイトは皮脂を吸い取る目的で使われています。[3] ただし、これを「汚れだけを選んで引き寄せる」と説明することはできません。吸着という性質だけで、肌に残しておきたい油分を守り、不要なものだけを取り除けるとは言い切れないのです。

泡が出ないことと、
肌への刺激が少ないことは、
分けて考えたいところです。

使う素材や製品、頻度によっては、乾燥や刺激につながることがあります。[3]

肌で調べられていること

クレイを含むフェイスマスクについては、人の肌で調べた研究があります。

2023年の研究では、脂性肌または混合肌の成人65人が参加し、市販のクレイマスクを週に2回、4週間使いました。最後まで参加したのは60人です。使用前と比べて、測定した皮脂量の減少や、角層の水分量の増加などが報告されています。[4]

REPORTED

報告されていること

成人65人が、週2回・4週間使用。皮脂量の減少や、角層の水分量の増加などが報告されています。

NOT YET KNOWN

判断できないこと

クレイ単独がどれほど働いたか。髪や全身の洗浄に当てはめられるか。

ただ、この製品にはクレイのほかにパンテノールなども含まれており、使わない人との比較はありません。著者はロレアルに所属し、研究資金も同社が提供しています。粉と水だけのクレイに同じ結果が出るか、クレイ単独がどれほど働いたかは、この研究からは判断できません。

肌に合うかどうかを見るときは、「クレイ配合」という名前だけでなく、製品全体の成分と使い方に目を向けることが大切です。フェイスマスクで得られた結果を、そのまま髪や全身の洗浄に当てはめることもできません。

薬として扱われてきた土

人が土を身体の手入れや薬に用いてきた歴史は、現在の化粧品よりずっと長いものです。

光と影が落ちる土色の壁と石畳。奥の角に猫が一匹座っている

スイスのバーゼル大学の薬学博物館には、16〜18世紀のレムノス島やシレジアの薬用粘土が残されています。これらを分析した研究は、薬用の土がヨーロッパで二千年以上にわたって用いられてきたことにも触れています。[5]

同じ研究では、保存された試料の一部に、実験室で細菌の増殖を抑える働きが見られました。ただし、すべての試料が同じ働きを示したわけではありません。研究は、鉱物そのものではなく、試料に含まれていた有機成分などが関わっているとみています。

長く使われてきたことと、
いま手元にあるクレイの効果や安全性は、
別々に確かめる必要があります。

それでも、薬学博物館に残る小さな土の塊からは、人が身近な素材に手当ての方法を探してきた時間がうかがえます。

天然という言葉の先を見る

クレイを選ぶときは、色や産地だけでなく、肌に使う目的で販売され、成分や使用方法を確認できる製品かどうかを見たいところです。

天然の鉱物には、不純物が含まれることがあります。米国食品医薬品局(FDA)は、未加工の粘土などの鉱物原料には、ほかの化粧品原料と比べて微量の鉛が含まれやすいと説明しています。[6] これはすべてのクレイが危険という意味ではなく、「天然」という言葉だけでは品質を判断できないということです。

初めての製品は、いきなり顔全体へ広げず、小さな範囲で肌の反応を確かめてから。置く時間や使用頻度は製品の表示に従い、長く置けばよいとは考えないようにします。

BEFORE YOU TRY

  • 小さな範囲で、肌の反応を確かめる
  • 置く時間と頻度は、製品の表示に従う
  • かゆみやひりつきが出たら、洗い流して使用をやめる
  • 洗い流したあとは、保湿を

こうした基本は、クレイを含むマスクにも共通します。[3][7]

浴室で無理なく付き合うために

白い器に入った緑色のクレイと、先にクレイのついたへら。右上に葉の枝

使う前の準備や、使ったあとの片づけも、手入れの時間のうちです。道具を洗うこと、浴室に残ったクレイを拭き取ること。その手間まで含めて、暮らしに収まるかどうかを考えてみます。

洗い流し方や残ったクレイの処理は、製品の案内と住まいの排水設備に合わせて。使う量や範囲を広げる前に、小さく試して片づけまで確かめておくと、付き合い方も見えてきそうです。

使う頻度は製品の案内を確かめながら、肌の状態に合わせて。肌に合わなければ、ほかの方法を選ぶ余地もあります。

使ったあとの肌の感触。
そして、続けられるくらいの手間。
あなたの暮らしには、どんな洗い方が心地よく収まりそうでしょうか。

Text / Vayu編集室

Last updated / 2026.10.20

Sources

  1. Margaret D. Foster(1955)The relation between composition and swelling in clays. U.S. Geological Survey, Open-File Report 54-91.
  2. U.S. Geological Survey(1999)Environmental Characteristics of Clays and Clay Mineral Deposits. 肌での効果を検証した資料ではありません。
  3. American Academy of Dermatology(2026年3月3日更新)Do facial masks work, and should I add one to my skin care routine?
  4. Xianghua Zhangほか(2023)Comprehensive assessment of the efficacy and safety of a clay mask in oily and acne skin. Skin Research and Technology, 29, e13513. 複数成分を含む市販品の、対照群を置かない4週間の試験。企業所属の著者による企業資金の研究です。
  5. G. E. Christidisほか(2020)The interweaving roles of mineral and microbiome in shaping the antibacterial activity of archaeological medicinal clays. Journal of Ethnopharmacology, 260, 112894. 歴史的試料の分析と実験室での試験で、現代のスキンケア製品の臨床試験ではありません。
  6. U.S. Food and Drug Administration(2016)Supporting Document for Recommended Maximum Lead Level in Cosmetic Lip Products and Externally Applied Cosmetics. 米国の資料で、日本の基準ではありません。
  7. American Academy of Dermatology How to test skin care products. 家庭での確認は、医療機関のパッチテストとは異なります。

資料確認日 / 2026年10月20日

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