仕事の予定を開くと、会議や締め切りは先のほうまで埋まっている。けれど、ひと息つく時間は、空いているところを探して差し込む。そんな一日に、心当たりはないでしょうか。
休憩は、仕事が片づいたら取るもの。その順番を少し変えて眺める入口に、スウェーデンの「フィーカ」があります。
コーヒーの味と、一緒に過ごす時間
フィーカは、コーヒーと菓子などを囲み、ひと息つく習慣です。スウェーデンの公式観光機関Visit Swedenは、飲みものだけでなく、人と過ごす時間に意味があると紹介しています。職場の日課になっている場合もあり、午前と午後に時間を設けるところもあるそうです。[1]
カップを手にすることと、仕事の手を止めることは、似ているようで少し違います。飲みながら画面を見続けていれば、作業はそのまま続いている。誰かと同じテーブルにつく時間には、いったん仕事から離れる区切りが生まれるかもしれません。
ただ、フィーカという名前があれば、どの職場でも同じように休めるとは限りません。公式の文化紹介が伝えるのは習慣の輪郭であって、すべての働き手の一日ではありません。
習慣と、休める仕組み
スウェーデン労働環境庁は、労働時間法の説明で、まとまった休憩に加え、必要な短い休止を取れるよう、雇用主が仕事を組み立てることを示しています。短い休止は労働時間に含まれます。ただし、法律の適用には例外や労使協定による扱いがあります。[2]
これはフィーカそのものを全国一律の権利として定めた、という意味ではありません。コーヒーを囲む文化と、休息を確保する制度は、重なりながらも別のものです。
休憩室に椅子があっても、その間の仕事を誰が引き受けるか決まっていなければ、座りにくいこともあるでしょう。店頭や介護の現場なら、交代の段取りも必要になります。休めるかどうかは、一人の心がけだけでは決められないのかもしれません。
一人で過ごす余地も残して
一緒にお茶を飲む時間をうれしく感じる人がいる一方で、休憩くらいは話さずに過ごしたい人もいるでしょう。輪に入ることまで仕事のようになってしまったら、休憩の形は窮屈になります。
フィーカから考えたいのは、菓子を用意することよりも、仕事の途中に立ち止まる場所を持てるか、ということです。話しても、黙っていても、少し席を外してもいい。その選び方に余地があると、休む時間は自分のものに近づきそうです。
あなたの一日には、何かを終えたごほうびとしてではなく、途中でひと息つける時間があるでしょうか。
お時間あれば、もう少し。
ほかの読み物を探す Vayuの棚へ →
