「甘酒」と聞くと、冬や、お正月に神社でいただく温かい飲み物を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど俳句の世界では、甘酒は夏の季語なのだそうです。今日は、そんな甘酒と麹の話をしたいと思います。

甘酒は、夏の季語だった
江戸時代、夏になると天秤棒を担いだ甘酒売りが町を歩いていた、と言われています。冷たい甘酒は、暑さで食欲が落ちる時期に、手軽に栄養を摂れる飲みものとして親しまれていたようです。
俳句の季語としても、甘酒は夏の項目に分類されています。現代では冬のイメージが強い甘酒ですが、もともとは暑気払いのための夏の飲みものだった、というのは少し意外に感じるかもしれません。
麹がつくる、自然な甘さ
甘酒には、米麹からつくるものと、酒粕からつくるものがあると言われています。今日お話ししたいのは、米麹からつくる甘酒です。
米麹は、蒸したお米に麹菌を繁殖させてつくられます。この麹菌が持つ酵素が、お米のでんぷんをゆっくりと糖に変えていく――これが、米麹甘酒の自然な甘さの正体だと言われています。砂糖を加えなくても、発酵の力だけでしっかりとした甘みが生まれる。これは、なんだか小さな驚きです。

甘酒に含まれているもの
甘酒は「飲む点滴」や「飲む美容液」と呼ばれることがありますが、これは医療上の名称ではなく、含まれる成分やイメージを表した呼び方です。
米麹甘酒には、糖質のほか、少量のたんぱく質、アミノ酸、ビタミン類などが含まれます。ただし、原料や製法、濃さによって成分は異なり、甘酒だけで必要な栄養を十分に補えるわけではありません。
麹の酵素が米のでんぷんを糖に分解することは確かですが、甘酒に含まれる栄養全般が、ほかの食品より特別に吸収されやすくなるとまでは言い切れません。
昔から受け継がれてきた飲みものを、日々の食事の中で無理なく楽しむ。そのくらいの距離が、ちょうどよいように思います。
少量で、じゅうぶん満たされる
ここまで読むと、たくさん飲みたくなるかもしれません。けれど、甘酒には少し気をつけたい点もあります。
米麹甘酒は、でんぷんが糖に分解されているため、商品によっては糖質を多く含みます。濃さや一回量も商品ごとに違うので、栄養成分表示を見ながら、自分に合う量を選ぶのがよさそうです。
ただ、これは「我慢する」という話ではありません。甘みがしっかりしているからこそ、少しの量でも満足できることがあります。たくさん飲むことより、ちょうどいい量を知る。そのほうが、甘酒との付き合い方としては心地よいのかもしれません。
米麹甘酒は一般にアルコールを含まないものとして扱われます。一方、酒粕からつくる甘酒には、商品や作り方によってアルコールが残ることがあります。子どもや妊娠中の方、運転前などは、商品の表示を確かめて選ぶと安心です。

まとめ
この夏は、冷たい甘酒をひとくちだけ、試してみるのはどうでしょうか。
江戸の人々が暑気払いに口にした、あの一杯を。少量で、じゅうぶん満ちる時間を。
