世界の暮らしと道具

世界のどこかの台所で使われてきた道具や知恵。土地の暮らしをたずねます。

  • 床下を、煙が通る家

    床下を、煙が通る家

    朝鮮半島には、オンドルがあります。
    床の下に煙の道をつくる暖房です。
    焚き口の熱い煙が、床下を流れます。
    石を敷いた床が、熱をためます。
    空気ではなく、床を温めるのですね。
    かまどの煙を使う家も多いそうです。
    煮炊きの熱が、暖房も兼ねたのでしょうか。
    座って暮らす習慣と、関わりがありそうです。

  • タジン鍋の蓋は、蒸気を返す

    タジン鍋の蓋は、蒸気を返す

    北アフリカに、タジン鍋という鍋があります。
    モロッコなどで使われてきました。
    蓋は、とがった円錐の形をしています。
    中で立った湯気が、傾いた内壁に触れます。
    そこで水滴になり、鍋の中へ戻ります。
    加える水は少なくて済むそうです。
    食材はしっとり仕上がるようです。
    そのまま食卓に運ばれることもあるようです。
    乾いた土地の知恵なのかもしれません。

  • バードギール、風だけで涼をとる塔

    バードギール、風だけで涼をとる塔

    イランなど乾燥地帯には、バードギールと呼ばれる塔があります。
    風を捕まえて、室内に送り込む仕組みです。
    出口をずらすことで、熱い空気を外へ逃がします。
    電気を使わない換気装置として、何世紀も使われてきました。
    地下の水路と組み合わせ、風を冷やす例もあるそうです。
    塔の形や向きは、地域によって少しずつ違うといいます。
    乾いた気候だからこそ、育った工夫なのでしょうか。

  • ゲル、畳める家の骨組み

    ゲル、畳める家の骨組み

    モンゴルの草原には、ゲルと呼ばれる住まいがあります。
    骨組みは木の棒を格子状に組んだ部材で作られています。
    ハナと呼ばれるその部材は、広げると丸い壁になります。
    畳めば一本の束になり、持ち運びやすくなるそうです。
    天井には放射状の骨組みが、天窓を支えて広がります。
    全体を包むのは、羊毛から作られたフェルトです。
    重ねる枚数を変えて、夏と冬の暑さ寒さに応じます。
    解体すれば、家畜や車に積める大きさになるのだとか。
    遊牧という暮らし方が、この形を育てたのでしょうか。
    土地に留まらない暮らしにも、知恵があるようです。

  • 素焼きの壺が、水を冷やす仕組み

    素焼きの壺が、水を冷やす仕組み

    中東や北アフリカには、素焼きの壺で水を冷やす道具があります。
    陶器の表面には、目に見えないほど小さな穴が空いています。
    その穴から水がわずかににじみ出るのだそうです。
    にじんだ水が壺の外側で蒸発します。
    蒸発するとき、まわりから熱を奪っていきます。
    その結果、壺の中の水が少しずつ冷えていくといわれています。
    電気を使わない、昔ながらの知恵といえるでしょうか。
    インドでは「マトカ」、メキシコでは「オヤ」と呼ばれています。
    形や呼び名は違っても、仕組みはよく似ているようです。
    暑さの厳しい土地ほど、育ってきた道具かもしれません。