香りにまつわるお話

植物や茶、雨上がりの土。香りにまつわる話を、静かに集めます。

  • 柑橘の香りは、皮にある

    柑橘の香りは、皮にある

    みかんの皮をむくと、香りが立ちます。
    あの香りの元は、果肉ではなく皮です。
    皮の表面には、小さな油の袋が並びます。
    油胞と呼ばれる部分です。
    皮を折り曲げると、油が細かく飛びます。
    その中に、リモネンなどの香り成分があります。
    果肉より皮のほうが、香りが強いのはそのためです。
    柑橘の皮が薬味や菓子に使われてきたのも、
    この香りの濃さと関係がありそうです。
    次に皮をむくとき、少し近づけてみませんか。

  • 沈香は、木が傷ついた跡に生まれる

    沈香は、木が傷ついた跡に生まれる

    沈香は、香木の中でも希少な存在です。
    けれど木そのものは、香りを持たないそうです。
    ジンチョウゲ科の木が傷つくと話は変わります。
    そこに菌が入り込み、木は樹脂を出すといわれます。
    身を守るための樹脂が、長い年月を経て変化します。
    芳香成分を帯びた樹脂が、沈香になるのだとか。
    傷のない木からは、ほとんど採れないそうです。
    香りの奥に、木の記憶があるのかもしれません。

  • 香りと記憶が、近くにあるわけ

    香りと記憶が、近くにあるわけ

    香りの情報は、他の感覚と少し違う道を通ります。
    視覚や聴覚は、いったん脳の中継地点を通ってから伝わります。
    けれども嗅覚だけは、その中継地点をほとんど経由しません。
    感情や記憶に関わる脳の部分へ、ほぼ直接届くのだそうです。
    だからふとした香りが、古い記憶を連れてくることがあります。
    通学路の匂いや、誰かの家に漂っていた匂い。
    心当たりのある香りは、ありますでしょうか。

  • 雨上がりの匂いには、名前がある

    雨上がりの匂いには、名前がある

    雨上がりに漂う、独特の香りがあります。
    この香りには「ペトリコール」という名前があるそうです。
    1964年に科学者によって名付けられたのだとか。
    乾いた土や岩に、雨粒が触れることで生まれるといわれます。
    土の中の油分や、微生物が作る物質が関係しているようです。
    その微生物は「ゲオスミン」という成分を作り出します。
    人の鼻は、ごくわずかでも反応するそうです。
    懐かしいと感じる人も多いのではないでしょうか。