もうずいぶん昔、ロンドンのB&Bで朝食を聞かれたときのこと。
「コンチネンタル、それともイングリッシュ?」
違いがわからないまま、コンチネンタルと答えた。
そして、隣の人の朝食を見て、ちょっと悔しくなった。イングリッシュには卵がある。ベーコンもウインナーもある。お豆もある。そちらのほうが、ずっと豪華に見える。
コンチネンタル・ブレックファストという名前との出会いは、そんな朝だった。
名前だけなら、コンチネンタルもなかなか立派だ。長いし、なんとなく優雅な響きもある。でも、朝食の名前の長さと、皿のにぎやかさは別の話だった。
コンチネンタル・ブレックファストは、パンとコーヒー、バターやジャムなどを中心にした軽い朝食。「コンチネンタル」が指すのは、英国から見たヨーロッパ大陸側。[1][2]

それに対して、イングリッシュの代表的な形は、卵、ベーコン、ソーセージ、豆、トマトなどを組み合わせた温かい朝食。店によって内容は違うけれど、隣の皿がにぎやかだったのには、ちゃんと理由があった。[3]

先に教えてもらえていたら、と思う。でも、説明を聞くより、隣の皿を見たほうが、違いはしっかり頭に残ったかもしれない。
旅先の食事には、こういう小さな選択が待っている。よくわからないまま頼んでみる。届いてから、なるほどと思う。ときには、隣のほうがよかったなと思う。
大きな失敗ではないけれど、案外、忘れないものだ。あれから長い時間がたっても、あの朝の皿は思い出せる。
もちろん、パンとコーヒーで始めたい朝もある。今日は軽く食べて出かけよう、という日なら、コンチネンタルがちょうどいい。ゆっくり座って、温かいものを食べたい朝には、イングリッシュを選ぶ楽しみがある。
ただ、初めて違いを知ったあの朝は、やっぱり隣の皿が気になった。
次に「コンチネンタル、それともイングリッシュ?」と聞かれたら。今度は名前の響きより、お腹に相談してみようか。
SOURCES 出典

コンチネンタルのこと

イングリッシュのこと
お時間あれば、もう少し。
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